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Bitter Cafe

苦くて渋くて辛くて酸っぱい日記

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通常水曜日は、いつもの職場に出てから、海の見える職場に移動する。
移動の際、私は町中をちょっと外れた川沿いの緑地を歩くことにしている。
川の真ん中を飛び石を渡りながら歩いていたら、カメラとかマイクを持った一団が向かってきた。
そのうち一人が、挨拶をしてきた。
ここを歩く人たちはだいたいすれ違いざまに、ちょっと道を譲ったりしながら、「こんにちは」「すみません」などと挨拶し合うところも私は好きだ。
ただ、この挨拶してきた人は単なる挨拶ではなく、
「ちょっとお伺いしてもいいですか」
と来た。私はこれから仕事に向かうので、電車の時間がある。
「えーと、仕事なのですが・・」
と言うと、
「あっ、それでは」
と先方は遠慮してきたが、出たがりの私としては、惜しいような気がしてきた。
「あの、何か?」
とこちらから振ってしまった。
「この町のいいところとか、お伺いしたいのですが」
私の頭は、今歩いている緑地しか浮かばない。
「えーと、いいところですか。このあたりは自然が一杯でマイナスイオンがたくさんと言う感じがするので、遠回りしても、ここを通ったりします」
今日は遠回りではないし、仕事の移動に遠回りするのはよろしくない。
「そうですねぇ、ふんふん、今からご出勤ですか」
と先方。マイクとカメラが回っているけど、カメラ目線にはなれない。
正確にはご出勤ではないので、なんとなく
「えーとまぁ、ちょっと」
などと、妙に意味深な答えになってしまった。
「ここを通るとなんだかこれから頑張ろうって元気になれます」
と、みぎりこぶしを作ってみたりする、間抜けな私。
それでも先方は、
「そうですね」
と相槌を打つ。
「それから、ここを歩いている人と挨拶を交わすのも好きですね」
相手が何と答えたかはあんまり覚えていない。

ということで、ずいぶんずうずうしく答えてしまった。
一番後ろの人が、
「この番組ですから、ご覧になってください」
と約1ヶ月先の国営放送のチラシをくれた。
「ろくなこと言えなくてすみません」
などと、相手にとってはどうでもいいことを小さくつぶやいて、お別れした。

インタビューはいいけど、2倍くらいに太って見えるというテレビに映るのは、どーもなぁと、複雑な気持ちでありながら、海の見える職場の人たちに、
「今日ね、今日ね」
と報告する私であった。

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