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Bitter Cafe

苦くて渋くて辛くて酸っぱい日記

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一人で迎える新年も3回目。
慣れるものかと言えばそんなに慣れるものでもない。
ただ、これまでの2回と違うのは、家。

やっぱり何度今年を振り返っても家。

工務店には、3回手紙を書いた。
正確には、1回目は、契約にあたって思うことアンケート的なやつで、2回目は、着工式という業者と契約者の集まりに臨んで業者を前に読み上げた作文で、3回目、引き渡しの時にお礼と一緒に渡したのが「手紙」ということになるかなと思う。
自慢ではないが(充分自慢か)3回とも、非常に受けが良く、工務店の社長や担当他数人のブログに取り上げられたこともあったし、また、ぜひ載せたいというリクエストももらった。
こうして、締めくくって、乱暴な性格を中和しようともする私の手紙。
中和はするけど、嘘はない。

その3回目は、コピー用紙(便箋ではなく、手書きでもない)5枚になった。
その中のほんの一部でありながら、そのほとんどを語る部分。

「みなさんは、私の両親を見かけませんでしたか?
私は会いましたよ。母は解体の日、かろうじて踏みつぶされずに生き残ったチューリップでした。解体を終える頃には、自分がほんの少ししか「幸せな時」を生きられなかった(結構この家での前半は苦戦した人生だったので)古い家の最後を見届けて、そっと帰っていきました。
父は、夏真っ盛りを満々と咲き誇る百日紅です。このあたりでは見かけないような外観の家、1人で建てた家は鵜の目鷹の目のご近所さんたちからも注目を浴びています。
人との付き合いが苦手で、人から注目されるなんてもってのほかだった父は、今こうして、私の家に添え立ちし、初めて注目されることを喜んでいます。
新しく生まれ変わった家に私が戻ってくる姿を見届けようと、それまで咲き続けてくれると思っています。
母亡き後、楽しいことなんて一つもなかった父を助けることのできなかった娘ゆえ、「温かく見守って欲しい」ということは、どうも娘の私から父にはお願いできません。
ぼけてしまった父は、できないことが増え、自分にとって娘である私がスーパーウーマンになっていたため、よく言っていた言葉があります。その言葉を、この家に対して、そしてここまで来た私に対して、たったひとこと、言ってくれればいいです。
「おまえは、すごいね。本当に、すごいね。」

いなくなってしまえば「どこかで見ている」というその気持ちは、残された者の「慰め」でしかない。
それでも、間違えた方向に歩いてしまう自分の軌道修正になる。
「これでいいのかな?」
「間違ってないかな?」
何度も自分に、おとーさんに、かーさんに語りかけながら建てたこの家は、やっぱりどこかちぐはぐだけど、両親も十分ちぐはぐだから、その娘もこれが限界。

亡くなる数日前、
「あと2年は生きたいな」
そういっていた、おとーさん。
その2年が経った。判断を間違えたのか、これでよかったのか、何度も自分に問いかけてきた。生きたい2年が経って、
「ほら、おとーさん、2年経ったからさ、時効だよね」

自分に言い聞かせ、両親に語りかけ・・・終わる1年。
来年は、何を語ろう、語りかけよう。

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