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Bitter Cafe

苦くて渋くて辛くて酸っぱい日記

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私はパソコンの仕事をしているけど、目も頭も基本的にアナログなので、画面の文字より紙媒体が好きだ。
本も新聞も紙で読む。
家で取っている新聞の中で、ほぼ毎日読んでいるのが、さまざまな病気について、患者さんの経験や、治療についての連載記事。
今は、胃カメラ検査で胃がんが発見された60歳をこえた男性の話。最終的にあまり悪い結果で終わらない話なので、連載途中では、今現在のこの方のことはわからないものの、今日は、初めて訪れる大きな病院で、ご夫婦が広い待合室で待つ間、「こんなに患者さんが多いんだね」と、ぽつりぽつりと会話を交わし、お昼はサンドイッチを食べるものの味がしなかった・・・とあった。
私はこの2人の後姿と、両親の後姿が重なった。
20余年前、悪性腫瘍が見つかったかーさんは、とにかく普通の腫瘍ではないから、大至急手術をしなければならないと医者に言われた。
どういう手術で、かーさんがどういう体になって余生を送ったかは、もうどこにも書かない。
ただ、手術までの1週間、私たちは、身もだえするような日を送った。
術前検査のため、初めて病院に行く日、両親から、手術までは仕事を休むなと言われ、早朝、新幹線に乗る、両親を見送って、仕事に行くことになった。
私は2人よりも早い電車に乗ることになっていたので、2人を残して、在来線ホームに向かう。
振り返ると、今別れてきた両親が駅の待合室の椅子に背中を丸めて座っていた。

あの日の2人の後姿は、今も私の記憶に残っている。

きっと、この新聞に載るご夫婦もこんな風に座っていたんだろうなと思う。
経験はたくさんの共感を生む。私は決してやさしい人間ではないけれど、人の痛みを「わかること」「理解できること」「共有できること」も増えた。
余分なことだけど、それだけに、勝手な判断、理解不足な言葉、わかったふりが嫌いだ。

私が今こうして1人で生きること、生きていくための力や強さや知恵は、あの時、あの後姿から始まった気がする。

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