2020/06/24 (Wed) 人は人

当然私にも両親がいて（今はいないけど）、遺伝子を共有しているとはいえ、それぞれに欠けたところも山ほどあった。自分に似ているがゆえに、「嫌なことを考えている」とすぐわかってしまったりして、余計に面倒だったりもした。
それでも私にとっては、選ぶことができないというより、私は彼らに選ばれて生まれてきたので、彼らと一緒に生きてきた。人はどう見ようと、まぁ親子としてとりあえず成立していた。

どの家だって、完璧なものなんてないけど、とりあえず、そこそこの割合で「まとまって親子」している家も多い（まとまらない家も多いけど）。
人の家の「自分の家と違うところ」をあれこれ言うのもどうかと思う。
ただ・・・・
ある家庭の話をその家の娘から分散して聞いている。
その家は、父親が絶対。娘２人は、若干婚期逃して未婚。
その父親から「大学に行きたければ、金は一銭も払わないから自分で行け」といわれ、奨学金で進学した。これについても二女は、「自分が行きたかったから仕方がない」と割り切っている。
私の時代（いつだ？）と違い、二女は、正社員としての働き口がなく、現在、契約で働いているので、正社員も含めた平均所得からするとかなり少ない。奨学金を返す間に、絶対のはずの父親はリストラされ、二女は、ダブルワークだった。奨学金を返し終えたところで、仕事は１つに戻った。
絶対の父親は、「震災を考えれば家なんて絶対建てない」と言っているのだそうで、家族４人単身者用＋αの賃貸で数回引越ししながら生活している。
そして再就職した父親に病が見つかり、結局仕事を辞め、二女は、また仕事を２つにした。理由は「親は貯金が一切ないから、今後の自分の生活のため」だそうだ。
日本に一切震災というものがなかったら、この父親は、家を建てない理由を何というのだろう。「金がない」と言ったほうが、かわいいのに。
そして、仕事を辞め病とともに生きる父親は、昼間風呂に入る。この家の風呂は追い炊きができない。
二女は、冷え性で、夏でもカイロを持っているし、私がそろそろソックスだけの足で過ごしているころ、冬用のタイツやレギンス、靴下重ね履きしている。
ところが、風呂が追い炊きできないため、姉は完全に入れなおして入っているというものの、二女は、一人一人入れなおすのはもったいないとして、湯船につかることができない。続けて入ればなんとかなりそうな気もするけど、入浴時間がずれているのか、あるいは、風呂の構造がよくないのか、ぬるくなっていて、かえって寒いという。
日々、温めていないと体調が悪く、夜は湯たんぽを抱えて寝ているらしい。
父親は、リストラされようと、娘の希望をかなえた教育は受けさせることができなかろうと、家は建てられなかろうと、単身者＋αの追い炊きのできない賃貸に家族を住まわせようと絶対で、病院に行く前に、自分がもらった薬を調べて、医者に理屈をこねたり、待たされると黙って帰ってきてしまったりしているらしい。何に対しても「理屈」をこねなければ、家も、子供の進学も、リストラも、どこにでもある話。でも父親は「絶対」だから、見栄えがよくない。
そうだ、これは人の家のこと。
ただ、私も人の親になることが普通という年齢になると、子の体を守れない親の話は不愉快になる。人からみたら「世の中に失敗している父親の絶対」と、時に、ガチャで集めたいものを、どこに飾るでもなく山のように引き出しにしまっている母親のいる家族の娘の体の優先順位の低さが情けない。
何度も言うけど、人の家のことだ。
自分が寒いから子供も寒いと決めつけて、ゆでだこのようになっても布団に娘をくるみ続けた母親と、３０数えてのぼせる寸前まで湯船に沈めた父親のせいで、人の３倍汗をかく娘を育ててしまった両親に、常々恨みがましいことを言う私が言うことではないか。