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Bitter Cafe

苦くて渋くて辛くて酸っぱい日記

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先月、近所のクラシカルな母娘の話をここでした。
独特のスタイルでいつも2人一緒に歩いているので、本人が思う以上に、周囲の注目を浴びていた。
娘さんがバイオリンを教えていて、私の働くイベントホールでも発表会を開催したことがあり、時に、ホテルのイベントスペースで自分のコンサートを開くこともある。市長からも後押しがある。お母さまはマネージャーのようでもあり、娘さんの衣装はすべてお母さまの手作りだった。
そんなこんなで、見た目もあって、うちの職場でもそれなりに注目されていた。
スタッフが「ジブリ」と名付けた。

昨日、仕事から帰ると、回覧板がポストに入っていた。
お知らせを見て驚いた、お母さまが亡くなったという訃報だった。
ついこの間まで、ゴミの日に集積場まで台車を押していた。外の掃除もしてくださっていた。高齢で若干耳が遠くなっている様子だったので、会話が成り立たないこともあったけど、それでも毎回一言二言会話した。
こういうことは、すべてお母さまの仕事だった。

回覧板を回すのと同時に、お悔みに伺った。
お客様はいらしていたけど、家人は娘さん一人。
棺の中のお母さまは、いつものようにアンティークなお帽子とフリルたっぷりのお洋服姿だった。
くも膜下出血で倒れて約2週間。お母さまはきれいなまま旅立った。

お母さまは、数年前お父様が亡くなった時、自分が亡くなったらどうするのかと心配だと言ったら、娘さんが「なんとかなるわよ」と言っていたという話を聞いた。案外そうなのかもしれないとちょっと思った。でも、彼女は私と同じように一人になるのだ。彼女は私ではない。
おそらく私と同じようなことを、娘さんの周囲の人は考えていただろう。
「大丈夫?」
娘さんは、これからの日々を、一人で過ごす。
一緒にお買い物に出かける相手はもういない。お洋服を作ってくれるお母さまはいない。人目をひいていた2人ではなく、クラシカルな少年風のおばさんは一人になった。

「全部やってもらっていたもので」娘さんは、いつもと変わりなく言った。

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