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Bitter Cafe

苦くて渋くて辛くて酸っぱい日記

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すぐ近所にある美術館で折り紙作家展をやっているので、行くことにした。
この美術館の裏側はちょっとした庭園になっていて、我が家からだと、この庭を通過して正門に出ることになる。
市民にだけ配られる無料券を握って歩いていたら、庭入口付近で、おばあさんに話しかけられた。
おばあさん「美術館はここから行けるんですか?」
私「行けますよ。私も行きますから。」
庭は広いけど、美術館までの道はそんなに広くないので、おばあさんを先頭に縦に並んで歩いた。
おばあさんは歩きながら後ろを振り向かずに話をしてくる。
ばば「このあたりに養護学校の迎えのバスが止まるでしょ」
私「そうですね。よく止まってますね」
ばば「私はその学校で子供の面倒をみる仕事してたの」
私「そうですか」
それからずっと前向きで話続けていた。
美術館に到着したところで、別々になったけど、そのあとも、美術館の売店の人に、ここを掃除するのは誰かとか、他の人はあまり興味を示さないだろうようなことを聞いていた。

ひとりで折り紙作品を鑑賞していると、真ん中に設置されたソファに、見たことあるおばあさんがいた。
私の職場によく現れる人で、コンサートも結構チケット買って見に来ているようだ。
ただし、事務所で、このおばあさんに話しかけられたときは、
「まずい、捕まった」
と、みんな思う。
私は、公共放送の演歌の祭典観覧希望の往復はがきを、このおばあさんに代わって書かされたことがある。
この演歌の祭典はものすごい応募者だったらしい。
おばあさんは、
「うちはハガキが来ても、近所に、すぐうちの郵便を持って行っちゃう人がいるから、取られたかもしれない」
なんてことを延々としゃべっていた。
銀行に行く途中ですれ違った時は、職場に戻ると、
「ばーさんに会った」
と、みんなに報告していた。

今日のこのおばあさんは、ソファに座って誰かに話しかけていたかというと、とても静かだった。
なぜなら、体がずれ落ちるほどの形で熟睡していたからだ。

さて、明日は、
「ばーさんが寝ていた」
と、報告しよう。

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